一般に、弁護士は交渉がうまいと思われているかもしれません(違ったらすみません)。
しかし、私は弁護士は交渉上手とはいえないと感じています。
今回は、なぜ弁護士は交渉がうまいとはいえないのかということについて解説したいと思います。
1 交渉の勉強はしていない
弁護士になるためには司法試験に合格しなければなりませんが、そこに「交渉術」のような科目は存在しません。
「交渉」という分野については、弁護士も一般の方と同じく素人だということです。
2 それゆえ自己流
体系的に学ぶわけではないので、交渉術については、個々の弁護士の自己流の学習に委ねられます。
本を読み漁る人もいれば、ボスから学ぶ人もいれば、相手方から学ぶ人もいると思いますが、司法試験に受かって以降は全く勉強などせず、工夫のない人もいるのが事実です。
3 依頼者の主張を言い続けるのが交渉だと思い込んでいる
弁護士のパターンとして多いのが、依頼者の主張を維持して一歩も引かないのが交渉だと勘違いしている人です。
もちろん、一歩も引かないという交渉ラインを決めておくこともありますが、交渉は押し引きなので、押してばかりではまとまるものもまとまりません。
なぜこのようなやり方をする弁護士が多いのかというと、
- 依頼者の言うとおりにやっていればとりあえず依頼者からは文句を言われにくい。
- 交渉が決裂しても相手方のせいにできる。
- そもそも妥協点を探る能力がない。
ということだと思います。
○小括
弁護士は法的紛争を扱うプロなので、妥協点を見いだす調整能力も必要です。
妥協というとなんだかネガティブな印象もありますが、お互いが譲り合うことにより明確な勝者敗者を作らないことも重要です。
勝者敗者が決まると恨み辛みが残りやすいからです。
この妥協の重要性についてはまた別の記事で解説したいと思います。
また、弁護士の交渉のやり方についても別の記事で解説予定です。