本記事では、依頼している弁護士と連絡が取れなくなった場合の対処方法について解説します。
〇本記事が想定する読者
依頼している弁護士と連絡が取れなくなった方。
〇結論
- 1 電話する
- 2 メールする
- 3 FAXをする
- 4 手紙を送る
- 5 事務所に出向く
- 6 弁護士会の市民窓口に相談する
以下、解説します。
連絡が取れなくなる弁護士
そもそも、依頼している弁護士と連絡が取れなくなるなどということがあるのでしょうか。
それが実際、あるのです。
理由はそれぞれですが、事件は進めているけどズボラで依頼者に進捗を報告していないケースはまだましで、事件が全く進んでいないことを知られないように依頼者の連絡から逃げているケースもあります。
最悪なのは、弁護士がうつ病になっているケースです。
最近、うつ病になる弁護士が増えており、典型的には、身体は健康だが仕事が全く手につかない、事務所に行くことができない、夜眠れないなどという症状に陥ることになります。
この場合、依頼者対応など全くできないので、依頼者からの連絡も放置することになります。
いずれにしても、依頼者の利益のためには、早急に他の弁護士を探すべきですが、依頼者にとっては弁護士側の事情が分からない以上、急に他の弁護士を探すわけにもいかないということも多いと思います。
また、他の弁護士に依頼するにしても、
- 事件の進捗状況が分からないので教えて欲しい
- 事件の資料を渡しているので返してもらいたい
という状況がありますので、何とかコンタクトを取る必要があります。
電話する
弁護士への連絡方法として最もポピュラーなのが電話です。
しかし、「事務員に折り返しを依頼したのにいつまで経ってもかかってこない」ということもあります。
この場合の許容限度ですが、3営業日以上折り返しがなかったら遅すぎると思います。
折り返しをするのを忘れている可能性もあるので、再度こちらから電話するしかありません。
事務員がいればまだ良いほうで、事務員がおらず、しかも秘書サービスも利用していないという場合で、事務所に何度も掛けているのに不在で全く電話が繋がらない弁護士もいます。
通常、事務員を雇っていない弁護士は、電話についてはかなり気を付けていて、携帯電話への転送などをしている人が多いですが、そうでない人もいるので要注意です。
メールする
電話が繋がらないとなると、別の手段を検討するしかありません。
弁護士の名刺にはメールアドレスが記載されていることがありますので、そのアドレスに連絡してみましょう。
ただし、メールだと、「迷惑メール設定の関係で届いていないようです」といわれる可能性があります。
FAXする
弁護士業界(裁判所界隈)は、旧態依然としたFAX文化が根付いており、弁護士事務所には必ずFAX機があります。
名刺にFAX番号も書いていると思いますので、FAXで連絡を試みるのも一つの手です。
ただ、FAXも、「用紙切れで届いていませんでした」という言い訳をされるかもしれません。
手紙を書く
こうなると、手紙で連絡を取るしかありません。
手紙で進捗状況の報告を求める場合は、期限を設けておくのが良いと思います。
内容証明郵便で出せば、後日送った内容を証明できますが、同時に書留郵便になるので、事務所を不在にしている弁護士だと、いつまで経っても受け取らないという問題が起こり得ます。
事務所に出向く
依頼者が自力で行うことのできる最後の手段としては、直接事務所に行ってみるというものがあります。
ここまで連絡が取れないのですから、アポがないことは気にする必要はありません。
ここまでやらなければならない状態だと、事務所にも居ない可能性が高く、郵便受けも郵便物でいっぱいになっているかもしれません。
それならそれで、この弁護士がかなりヤバい状態であることが分かるので、次の手続きをとるべきだという判断がしやすいと思います。
弁護士会の市民窓口に相談する
依頼者と弁護士との間のトラブル相談を聞いてくれる場所として、弁護士会に市民窓口というものがあります。
法律相談ではないので、費用はかかりません(もしかしたら弁護士会によって取扱いが異なるかもしれませんので、念のため、事前にお問合せ下さい)。
予約制のところもありますので、事前に電話しておくと安心です。
相談を聞いてくれるのは、大抵、ベテラン弁護士で、この弁護士が問題を解決してくれるわけではありませんが、場合によっては、弁護士会からその弁護士に直接連絡を取ってくれることもあります。
なお、依頼者の採り得る手段として「懲戒請求」も考えられますが、本記事のテーマは「制裁」ではなく「連絡を取ること」なので、懲戒請求の解説については別の記事に譲りたいと思います。
最後に
残念ながら、依頼者への報告を怠る弁護士、事件放置をする弁護士、依頼者の連絡から逃げる弁護士というのは確実に存在します。
過去には、事件を放置していたのに、判決文を偽造して依頼者に虚偽の報告を行っていたというより悪質なケースもあります。
そもそも、電話が繋がらないという段階で、他の弁護士を探すべきと考えられますが、変な交渉をしていないか、不利な文書を出していないかなど、事件を引き継ぐ弁護士の立場からすると、そのような弁護士の後を任されるのは非常に不安です。
万が一、そのような弁護士にあたってしまった場合は、新しい弁護士に依頼する際に、上記の手順を踏んで、旧弁護士から事件の引継ぎを受けるべきです。
なお、依頼者は、原則として、弁護士をいつでも好きなタイミングで解任することができます。特に理由はいりません。
ただし、その弁護士がすでに事件に着手し、一定の業務を行っていた場合は、着手金全額の返金が受けられない場合がありますのでご注意下さい。