本記事では、弁護士が業務上助けを借りることが多い職業を紹介します。
〇本記事が想定する読者
弁護士と関わりの深い職業を知りたい方。
〇結論
- 司法書士
- 税理士
- 不動産仲介業者
以下、解説します。
はじめに
弁護士の仕事の中には、弁護士だけで完結できるものもあれば、他の分野の専門家の力を借りなければならないこともあります。
今回は、そんな「弁護士にとっての旅の仲間」ともいえる職業についてご紹介します。
もちろん、専門分野によるところが大きいので一般化はできませんが、一般民事事件の解決に関わる他業種を挙げたいと思います。
司法書士
不動産が絡む事件の場合、最終的には移転登記や抹消登記をしなければならないケースが多いです。
不動産登記業務を自ら行っている弁護士は少ないので、多くの場合、依頼者を司法書士に繋ぐことになります。
判決に基づく登記の場合、裁判官も不動産登記業務に精通しているわけではないので、少しの文言の違いで、法務局から登記を断られてしまうことがあります。
したがって、登記が予定されている事件の場合は、訴状作成の段階から司法書士のチェックを受けておくのです。
税理士
事件を処理した後の税金の処理は、税理士に任せることになります。
弁護士でも税理士登録はできますが、やはり税理士業務を行っている弁護士は少なく、餅は餅屋に、ということになります。
弁護士は税金のことも良く分かっているはず、と思われる方が多く、法律相談などでもよく質問されますが、少し専門的な内容になると「税理士さんに聞いて下さい」と答えることになります。
税法分野は法改正が多くキャッチアップが難しい上に、暗黙知も多いので、自信をもって税金についてアドバイスできる弁護士は少ないと思います。
また、間違った教示をしてしまったときの相談者・依頼者のダメージ(損害)が大きいので、より慎重な扱いが必要です。
そうはいっても、事件処理後に課税が発生することを依頼者に説明できていなかったとなると、弁護過誤になる可能性もあり、弁護士といえども税法の大まかな勉強は欠かせません。
不動産仲介業者
弁護士が扱う案件には不動産が絡むことが多く、
- 不動産の実勢価格が知りたい
- 不動産を早く売りたい
という場合があります。
実勢価格の鑑定は本来、不動産鑑定士の仕事ですが、不動産鑑定士に依頼するとなると、数十万円~の費用がかかります。
不動産仲介業者であれば、通常、無料で査定をしてくれます(「鑑定」は不動産鑑定士にしかできませんので「買取希望価格」などと表記されます)。
不動産仲介業者にとっては、弁護士に対する営業活動の側面があるので、サービスで無料査定をしてくれるのです。
また、実際にその不動産を売買する場合の仲介は、その業者に依頼することになります(依頼者の了解が得られれば、ですが)。
なお、路線価がある場所なら、弁護士自身が路線価を調べて、実勢価格の概算を算出することもあります。
最後に
一般民事事件の処理において比較的関わりの多い3業種を取り上げましたが、上記の他にも、医師、公認会計士、弁理士、社会保険労務士、建築士、土地家屋調査士、中小企業診断士、行政書士など、業務上の関わりのある仕事は枚挙にいとまがありません。
このように、弁護士は、様々な専門家の助けを借りながら事件を解決しているのです。