本記事では、法律事務所に勤務する「事務員」について解説します。
〇本記事が想定する読者
法律事務所の事務員について知りたい方。
〇結論
法律事務所の事務員は、特別な国家資格などは不要であるが、転職組が比較的多く、入所後には継続的なスキルアップによる高度な事務処理能力を求められる。
以下、解説します。
事務員の業務内容
法律事務所には弁護士のほかに事務員も勤務しています。
では、この事務員というのはどういう人なのでしょうか?
事務員として勤務するのに特段の資格は必要ではありません。
簿記3級くらいは持っていることが多いかもしれません。
中には行政書士や司法書士などの資格をもった強者もいますが少数です。
事務員の仕事内容は、事務所にもよりますが、一般的には、電話受付、来客の応接、書類の郵送作業等のいわゆる事務作業に留まらず、破産事件などは弁護士の指示を受けながら内容面に踏み込んで事件を進める立場であることが多いです。
弁護士の指示で法令や判例の調査までこなす法的素養のある事務員のことをパラリーガルと呼んだりしますが、ベテラン事務員になると、弁護士よりも破産申立事件、破産管財事件、保全・執行事件に詳しいという人がざらにいます。
これら事件については、
- 細かな事務作業の量が多く弁護士だけでは手が回らない
- ある程度フォーマットが決まっておりノウハウとして蓄積されやすい
という特色があり、事務員の業務として割り振られることが多いようです。
フォーマットがあるとはいえ、事件は個別具体的な生き物ですので、当然、それを処理する事務員にも、高度な事務処理能力が求められることになります。
単純な流れ作業で完結する事件などありません。
事務員の職歴
事務員の職歴は様々で、転職組が多いように観察されます。
私が知る限りでも、銀行、運送関係、アパレル等と前職は様々で、職歴のない大学新卒は少数かもしれません。
経験者が優遇されるのは当然として、法学部出身者が有利かといえばそういうわけでもなく、法律実務は入所後に勉強して下さいというスタンスの事務所が多いと思います。
弁護士会では事務員向けの研修なども実施されており、ノウハウの承継、スキルアップが図られています。
前職の知識が活かせる場面もあるため、募集の際はハローワークに求人を出す事務所もあります。
紹介好きな弁護士らしく、事務員を弁護士同士のメーリングリストで募集する人もいます。
事務員の労働条件
労働条件として、最初の給料は一般の中小企業の事務員と同程度ですが、スキルアップした事務所貢献度の高いベテラン事務員は、弁護士と同程度(それ以上?)の給料をもらっている人もいるようです(と聞いたことがあります)。
また、一般論として、勤務弁護士には賞与はないところが多いと思いますが、他方、事務員には賞与を出す事務所が多いと思います。
法を司る法律事務所ですので、さすがにサービス残業を求めるようなブラック事務所は少ないと思いますが、小規模事務所だと、人間関係の問題が生じやすいことは他の中小企業と同じです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
法律事務所勤務というと、特殊な技能が必要な印象があるかもしれませんが、入所時には決してそこまで高いレベルは求められません。
ただ、入所後は、継続的にスキルアップを図っていく必要がありますので、勉強熱心な人には向いている職業といえるかもしれません。