一般の方が弁護士に相談・依頼しなければならない事態に陥るのは、一生に一回あるかないかだと思います。
しかし、弁護士に依頼するところまではいっていないけれども、大なり小なり、人生でトラブルに巻き込まれたことがあるという人は多いと思います。
そこで今回は、法的紛争に巻き込まれてしまった方々の相談を日々聞いている弁護士の目線で、「法的紛争に巻き込まれないためのコツ」を5つご紹介します。
- 1 うまい儲け話はないと知る
- 2 厄介な人とは距離を取る
- 3 世の中の仕組みを知る
- 4 悩んだら相談する
- 5 保険を掛ける
以下、それぞれ解説します。
1 うまい儲け話はないと知る
消費者被害が後を絶ちません。
最近はスマホから簡単に申込みができてしまうため、「初回無料」、「元本保証」、「絶対に儲かります(痩せられます)」、「1日30分で月30万円の副業収入」のような調子のよい文句に乗せられて、ついクリックしてしまう人がいます。
いったんお金を払ってしまうと、返金を受けることは簡単でない場合も多いので、うまい話などないということを改めてご確認下さい。
パターンは様々ですが、例えば、
・健康食品を購入において、初回無料だが1年契約となっており残りの11か月分の料金は発生し、しかも解約する場合は解約料がかかるパターン
・情報商材を申し込み、何やらソフトらしきものはダウンロードできたが、それを有効にするためには別途支払いが必要等と言われ、次々とお金を搾り取られるパターン
などがあります。
2 厄介な人とは距離を取る
関わることで害悪を持ち込んでくる人間というものがこの世には存在します。
できる限りそのような人とは距離を取らなければなりません。
ただ、その「厄介な人」が、ときに、同居の親族だったり、マンションの隣人だったり、会社の同僚だったりして、簡単には距離を取れないことも多いと思います。
それゆえただ我慢してしまう人もいると思いますが、このような場合でも、離婚する、転居する、転職するなどの選択肢があります。
コストはかかりますが、早めに決断したほうが結果として人生に展望が開けるということもあるので、オプションとして常に検討対象として下さい。
3 世の中の仕組みを知る
当たり前ですが、世の中の仕組みを知れば、騙される可能性も低くなります。
卑近な例としては、
・クレジットカードでリボ払いするとどのくらい利息を払うことになるのか?
・賃貸マンションを退去する際に支払うべき原状回復費用の範囲は?
・交通事故にあったときに自動車保険がどの範囲の費目を補償してくれるのか?
など、世の中の仕組みを知っていれば、万が一の場合も適切な対応が取れ、法的紛争に巻き込まれるリスクを軽減してくれます。
今はネットで検索すればある程度の情報を得ることはできるので、疑問に思うことがあれば積極的に調べてみて下さい。
4 悩んだら相談する
悩みのない人などいないと思いますが、中には思い詰めて心身を病んでしまう人もいます。
知人に少し相談するだけで、新たな知見が得らえて、楽になることもあると思います。
法的問題を抱えているかもしれないと思ったら、弁護士に相談してみるのも一つです。
事前に相談しておいたおかげで、法的紛争に巻き込まれずに済んだというケースもよくあります。
5 保険を掛ける
必要のない保険に加入する必要はないのですが、一般に「個人賠償責任保険」と呼ばれる保険については、あなたがどのような属性の方でも、加入しておくことをおすすめします(※特定の保険商品を推奨する趣旨ではありませんので、ご加入については保険約款をよくご確認の上、自己責任でお願いします)。
自動車運転中のみならず、自転車運転中、歩行中、遊戯中など、偶発的な事故に遭う可能性は万人に共通で、いつ加害者の立場になるか分かりません。
他人に怪我をさせた場合、賠償額が数千万円ということもありますので、被害者保護のためにも、個人賠償責任保険に加入しておけば、賠償の資力不足をカバーすることができます。
自動車保険の特約、火災保険の特約、クレジットカードに付帯する保険の特約などに知らないうちに付保されていることも多いので、「適用場面」、「上限額」、「被保険者の範囲(同居の親族がカバーされるか)」などを一度確認してみて下さい。
ちなみに、自動車保険には、事故の被害者になった場合に相手方に賠償請求するための弁護士費用を300万円まで保険金で賄うことができる特約を付けることができます(※特定の保険加入を推奨する趣旨ではありません)。
また、その他にも、近年は各保険会社が様々な弁護士保険(一般に「権利保護保険」と言います)を販売しています(※しつこいですが、特定の保険加入を推奨する趣旨ではありません)。
小括
今回は、法的紛争に巻き込まれないためのコツについてお話ししました。
ただ、どんなに気を付けても紛争当事者になってしまうリスクは常にありますので、もしそうなってしまったら、まずは弁護士に相談するところから始めていただければと思います。