生活の知恵

【弁護士が解説】弁護士から内容証明郵便が届いた場合にどうしたらいいのか?

〇本記事が想定する読者

 弁護士からの内容証明郵便を受け取った方。

〇結論

  • 1 弁護士に相談する
  • 2 その弁護士に連絡を取ってみる

 以下、解説します。

まずは弁護士に相談

 当たり前すぎる回答になってしまいますが、弁護士から内容証明郵便が送られてきたということは、好むと好まざるとにかかわらず、法的紛争に突入していることを意味しますので、まずは弁護士に相談するべき場合が多いと思います。

 しかし、いきなり弁護士に相談するのはハードルが高かったり、まずは自分の力で交渉してみたいという方もおられると思いますので、弁護士に相談しないパターンについても解説します。

期限に意味はあるのか

 ここで、期限に意味はあるのかということについて解説しておきます。

 内容証明郵便の中身によっては、「2週間以内に支払って下さい。連絡がない場合は法的手続きをとります。」、「2週間以内に退去して下さい。連絡がない場合は法的手続きをとります。」等と書かれていることがあります。

 一般の方がこれを見ると、2週間以内に対応しないと何か特別な不利益があるのではないかと思ってしまいます。

 弁護士目線からすると、この相手方弁護士が設定する期限に、特段の意味はないことが多いです。

 単に、しばらく待って連絡もしてこないなら裁判をするぞ、という程度の意味であることがほとんどです。

 訴訟提起を避けたい事情がある場合は、早めに連絡を取って交渉を開始すべきですが、それにしても、相手方弁護士は、大抵の場合、期限を過ぎてから訴訟提起の準備を始めることが多いので、期限に1、2日遅れても、手遅れということは少ないと思います。

 他方、期限に重要な意味がある場合もあります。

 この期限に、「解除」するための前提である催告の意味がある場合、期限までに対応しないと解除されてしまうという法的効果が生じることがあります。

 また、期限までに連絡をしないと警察に告訴(又は被害届提出)されるというように、手前ならより穏便な解決ができそうな場合も、なるべく期限前に連絡はしておいたほうが良いです。

 ここでは、一律に慌てる必要はないというくらいに押さえておいて下さい。

内容証明郵便の意味

 弁護士が請求書類として内容証明郵便を用いるのは、「送った内容、送った日付、相手方が受け取った日付が証明できるから」です。

 主には、時効管理や遅延損害金請求のためであったりしますが、内容証明郵便だと一般的にも正式な法的文書のように認識されているので、相手方へのプレッシャーになるという副次的効果もあるように思います。

内容証明郵便を送ってきた弁護士に連絡してみる

 ここからが本題です。

 内容証明郵便に書かれている請求内容にもよりますが、いきなり訴訟という手段を取らず、相対で郵便による請求という手段を使っている以上、交渉の余地がある可能性があります。

 請求内容が「連絡禁止」などの不作為を求めるものならともかく、こちらの何らかの作為を要求するものである場合、相手方弁護士が電話や面談に応じないということはないと考えられます。

 例えば、内容が金銭請求であって、相手方があなたの預金口座、不動産、勤務先などを知らないと考えられる場合、相手方は裁判で勝訴してもあなたの財産に強制執行をする手段がありませんので、分割払いや減額などの交渉の余地があると思います。

 相手方弁護士は、当然、相手方の利益になるように行動するわけですが、一方で、交渉をまとめてしまいたいという動機も働くので、あなたの主張や事情を全く無視するわけではなく、総合的に考え、ときに相手方を説得する方法に傾くこともあります。

 したがって、相手方弁護士に直接会うなどして、こちらの主張をぶつけて交渉に臨むことも全く無駄とはいえません。

 もし、うまく交渉をまとめることができれば、結果として、当方の弁護士費用の節約にもなります。

最後に

 相手方弁護士と直接話すと不利益な方向に進められるのではないかという危惧を持たれる方が多いと思います。

 実際、相手方弁護士は、あなたが置かれた法的立場を客観的に説明してくれるわけではなく、結果として、客観的に不利な合意をしてしまうこともあるかもしれません。

 ただ、こちらの主張をぶつけた上で、相手方弁護士からも十分な説明・譲歩が得られて、納得のいく合意ができるというケースもあると思います。

 最初は、相手方弁護士を過剰に忌避・敵視する必要はありませんので、十分なコミュニケーションが取れそうな弁護士かどうか確認し、ダメそうなら自分も弁護士に相談し、良さそうならまずは自分で交渉を始めてみるということでも良いかもしれません。

 個人的には、「依頼」はしなくてもいいので、弁護士に「相談」くらいはしてから相手方弁護士との交渉に臨んだほうが良いとは思います。