本記事では、訴状が届いた場合の対応方法について解説します。
〇本記事が想定する読者
何らかの訴状を受け取った方。
〇結論
- 1 弁護士に相談
- 2 裁判所に行ってみる
以下、解説します。
まずは弁護士に相談
あまりに当たり前の回答なのですが、訴状を受け取ったら、なるべく早くに弁護士に相談に行くべきです。
一般の方が訴訟を戦っていくことも不可能ではありませんが、当然主張すべきことを主張していなかったり、当然提出すべき書証を提出していなかったりして、勝てるはずの裁判で負けてしまうという危険性があります。
なお、その地域の弁護士会によっては、答弁書を受け取った方の初回法律相談は無料にしているところもありますので、お住まいの地域の弁護士会にまずは電話してみて下さい。
弁護士依頼が間に合わなかった場合
「弁護士に相談して下さい」というだけだと、この記事の意味がありませんね。
忙しくて期日までに弁護士に相談できなかったとか、依頼したいと思う弁護士に出会えなかったという場合にどうすべきかについても解説します(こちらが本記事のメインです)。
まず、裁判所から届く訴状には「期日呼出状」が添付されており、何月何日何時何分に〇〇裁判所の△△法廷に来て下さい、ということが書かれています。
また、□月□日までに「答弁書」を提出して下さいとの記載があり、答弁書のひな型が同封されています。
期日の変更は可能か
期日呼出状に記載された日時にすでに外せない予定が入っている場合、被告としては、期日の日程を変更してもらいたいところです。
これに応じてくれる裁判所もあるかもしれませんが、裁判所は簡単には期日の変更に応じてくれません。
特に第一回目については、「出頭できないなら答弁書を提出して下さい」ということを言われる可能性があります。
答弁書の意味
第一回期日に答弁書を提出せずに欠席した場合、基本的に原告の主張全てを認めたことになりますので、敗訴してしまいます。
したがって、第一回期日を欠席する場合は、必ず答弁書は提出しておかなければなりません。
裁判所から送られてくる答弁書のひな型には、大抵、
1 原告の請求を棄却する
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
との判決を求めます。
との記載がありますので、これにチェックを入れておけばOKです。
この答弁書を提出しておけば、仮に期日を欠席しても、いきなり敗訴することはありません。
答弁書には、具体的な主張を記載する部分もありますが、その後弁護士に依頼する予定があるなら、ここは書かなくても大丈夫です。
答弁書の提出方法
法律業界は非常に旧態依然としており、信じがたいことに文書のやりとりを主にファックスでやっています。
したがって、答弁書の提出などにファックスを使うこともできますが、一般の方は、裁判所に直接持っていくか、郵送という手段を使うことになると思います。
このとき、答弁書はコピーして3部用意します。1は正本で裁判所用、2は副本で原告用、3は控えで自分用です。このうち2部を裁判所に提出すればOKです。
期日への出頭
裁判所へ行く際は、訴状と書証、答弁書を持参します。
また、身分証明書(運転免許証等)、認印(書類の受取りや訂正のため)も持参します。
服装は自由ですが、見た目の印象も大切なので、ジャケットを着用するなど、できるだけフォーマルに近いほうが良いと思います。
裁判所の入り口で金属探知機によるチェックがあるところも多いので、時間には余裕をもって行って下さい。
法廷に着いたら、書記官から声を掛けられると思いますので、身分証明書を提示し、被告であることを伝えます。
他の事件が同じ時間帯に入っていることも多いので、他の事件が終わり、書記官から呼ばれたら、傍聴席から法廷の中に入ります。
法廷でのやりとり
裁判官が法廷に入ってきたら、傍聴席の傍聴人も含め、全員が起立します。
裁判官が座ったら、全員座ります。
これは儀式みたいなもので、郷に入っては郷に従えということで、あえて反抗する必要もありません。
裁判官は「原告は訴状を陳述しますか?」と聞くので、原告は「陳述します」と言います(以下、原告には代理人弁護士が就いていることを想定しています)。
次に、「被告は答弁書を陳述しますか?」と聞かれるので、「陳述します」と答えてください。
このとき、趣旨が不明な記載があると、裁判官から質問されることもありますが、適宜回答すれば大丈夫です。
ただ、このとき話した内容が調書に記載されると、あとで撤回できないこともありますので注意して発言して下さい。
もしあなたが「答弁書」を提出していなかった場合、裁判官から口頭で、原告の請求内容についての答弁を求められます。
弁護士をしていると、法廷でたまにこの光景に出くわしますが、非常に長いやりとりになりますし、口頭だと不正確になることもありますので、予め答弁書に整理しておくことをおすすめします。
ただ、逆に言うと、そもそも文章を書くのが苦手だという場合は、第一回期日に答弁書を持参することは必須ではなく、裁判官に対して口頭で答弁することもできる、ということを覚えておいて下さい。
また、今後、弁護士に依頼するつもりであれば、その旨を裁判官に伝えて下さい(そうするとそれほど詳しい答弁は求められないと思います)。
最後に、第二回期日の日程を決めて第一回期日は終了します。
第二回期日以降
本記事は、本人訴訟のやり方について説明するものではありませんので、基本的には、第一回期日をやり過ごしたら、なるべく早めに弁護士に相談・依頼の手続きを済ませることをおすすめします。
上記のとおり、第一回期日については、弁護士なしでも対応することは可能です。
したがって、第一回期日に間に合わなさそうだからといって頼りない弁護士に焦って依頼するよりは、第一回期日は自分で対応し、その後、時間をかけて信頼できる弁護士を探すという方法があるということを覚えておいて下さい。
最後に
訴状が届いたらとにかく驚くでしょうし、大変なことになったと慌てることになると思います。
しかも、大抵、訴状を受け取ってから1か月後くらいには裁判が始まってしまいます。
しかし、弁護士選びは大切ですから、焦りは禁物で、必ずしも第一回期日に間に合うように弁護士に依頼しなくても良いと思っていただいて結構です。