生活の知恵

【弁護士が解説】離婚するときに困ること4選

 本記事では、「離婚するときに困ること4選」について解説します。

本記事が想定する読者

 万が一離婚することになった場合に備えて、心の準備をしておきたい方。

結論

  • 1 収入を把握していない
  • 2 支出を把握していない
  • 3 資産を把握していない
  • 4 住宅ローンを夫婦共通の債務にしている

 以下、解説します。

1 収入を把握していない

 夫側であれ妻側であれ、夫婦の収入の全体像を把握していない方は多いと思います。

 給与所得の場合は源泉徴収票、個人事業主の場合には確定申告をみればある程度は分かりますが、相手方が書類の提出を拒んだり、そもそも確定申告をしていなかったりする場合は、収入の把握が困難な場合があります。

 また、給与所得のほかに、隠れた配当所得等がある場合もあります。

 お互いの収入により、婚姻費用や養育費の額は決まりますし、財産分与の一事情にもなりますので、収入の正確な把握は重要です。

 常日頃から、お金の話を避けないことが大切かと思います。

2 支出を把握していない

 収入と同様に、支出の全体像が把握できていないケースも散見されます。

 支出が把握できていないと、「もっとお金が残っているはずなのに何故これだけしかないのか(隠れて浪費したのではないか)」などと無用な疑心暗鬼にかかってしまい、話がこじれてしまうことがあります。

 家計を他方に任せきりにしないことが大切です。

3 資産を把握していない

 もっとも把握しておかなければならないのは、配偶者の預金口座です。

 金融機関名、支店名、口座番号について、きちんと確認しておきましょう。

 隠し口座のようなものを作られてしまうと捕捉するのは困難ですが、配偶者のメインの預金口座すら知らないという方も意外と多いと思います。

 知らないままだと、配偶者の財産状況やお金の流れを正確に確認することが難しくなってしまいますので、これは非常に重要な点です(裁判所が自動的に調べてくれるということはありません)。

 また、株式などの有価証券(証券口座)や生命保険(証券番号)についても把握しておかないと、財産分与の対象に含めないまま離婚が成立してしまう可能性があります。

4 住宅ローンを夫婦共通の債務にしている

 離婚する際には、財産分与として、夫婦の共同生活の中で培った財産を分ける必要が生じます。

 このときに困るのが、居住不動産(所有物件)の処理です。

 通常、住宅ローンの残りがありますので、夫婦のどちらが当該不動産に住み続け、どちらがローンを払っていくのかを決める必要があります。

 なお、居住不動産を売却してローンを完済し、プラスが生じればそれを分ける(足らない場合は補填する)という方法もあり、大抵の場合これがもっともシンプルな解決方法です(ただ、子がいる場合は、それは避けたいと思う方が多いです)。

 他方、妻と子が当該不動産に住み続け、ローンは夫が支払っていくと決めた場合、もし夫がローンを払えなくなると、妻と子は当該不動産を退去しなければなりません。

 この問題を更に複雑にしてしまうのが、不動産を夫婦の共同名義にするなどして、住宅ローンを夫婦共通の債務としてしまっているケースです(片方が主債務者、片方が連帯保証人のケース等を含む)。

 この場合、離婚の際に、「妻と子が当該不動産に住み続け、ローンは夫が払っていく」と決めたとしても、夫がローンを払えなくなると、妻と子は当該不動産を退去しなければならないだけでなく、妻には(不動産売却代金で足らない分の)ローン残額の支払義務も残ることになります。

 ただでさえ、養育費すらきちんと払われないケースが多いのに、その上、住宅ローンの支払義務まで残るのでは、安心して生活できる状態とは到底いえません。

 もちろん、居住不動産につき、夫婦が連帯債務(または連帯保証やペアローン等)のスキームを選択するのにはそれなりの理由があると思います。

 しかし、それには上記のようなデメリットがあることを理解しておくべきだと思います。

小括

 離婚するつもりで結婚する人はいません。

 しかし、人生何が起こるか分からないのもまた事実です。

 様々なリスクに備えるという意味で、離婚しなければならなくなった場合のことも頭の片隅に入れておくことが必要ではないでしょうか。

 今回紹介したポイントは、関係がこじれてからでは確認が難しいことがありますので、普段から意識しておくことが大切だと思います。