先日の記事で、弁護士は、既存顧客からの案件、既存顧客等からの紹介案件を多く取り扱っていると解説しました。
今回は、なぜ弁護士の案件の多くが「既存顧客からの案件」、「紹介案件」なのかを解説したいと思います。
理由1 既存顧客とは信頼関係の構築ができている。
事件を処理するにあたって最も重要といっても過言でないのが、弁護士と依頼者との間の信頼関係です。
既存顧客とは、過去の事件処理を通じてすでに一定の信頼関係が構築されており、依頼者にとっても安心であると同時に、弁護士にとっても、依頼者の要望などが予測しやすいので、安定した事件処理が見込めます。
他方、全く新規の依頼者だと、依頼者の要望の読み間違えや、連絡方法・頻度の行き違いなどが生じる可能性が高くなり、都度の調整が必須です(もちろん、この調整能力が、弁護士の腕の見せ所でもあります)。
理由2 既存顧客の新規案件はリピートが見込める。
弁護士が介入すべき法的紛争が日常的に生じる業態というのがあります。
そのような業態の顧客はリピーターになってくれることがあります。
顧客がリピーターになると、弁護士にとっては、顧問契約や定期的な事件依頼により安定した売上げが確保でき、事務所経営上も非常に助かります。
また、その分野の数多くの案件を処理することによって、ノウハウが蓄積され専門性を磨くこともできます。
専門性が得られれば、その業界の他の顧客を獲得できる可能性も高まります。
理由3 マッチングがうまくいく可能性が高い。
ランダムな相談と異なり、紹介案件は、紹介者において「この人ならこの弁護士に紹介しても大丈夫だろう」というフィルターを通した上でマッチングをすることになるので、その分、うまくいく可能性が高いです。
依頼者にとっては、紹介者への信頼がそのまま弁護士への信頼に繋がることがありますし、弁護士にとっても、この人(紹介者)が紹介してくれた人だから大丈夫だろうという一定の安心を得ることができます。
また、万が一、依頼者との間で行き違いが生じた場合でも、紹介者に間に入ってもらい関係修復を図ることができることがあります(あくまで最後の手段ではありますが)。
理由4 既存顧客との信頼関係強化に繋がる。
既存顧客から紹介された依頼者は、当然、既存顧客とも親しい間柄であることが多いです。
紹介された依頼者の案件をうまく処理することができれば、紹介者である既存顧客の顔も立ち、弁護士と既存顧客との間の信頼関係もより強化されることがあります。
○小括
以前の記事でも解説しましたが、現在においては、紹介案件でないと相談を受けないという弁護士は減っていますので、上記はあくまでも弁護士側の内部事情に言及したに過ぎません。
ですので、弁護士を探すのに必ず紹介を受けなければならないものではありませんのでその点はご安心下さい。