弁護士を選ぶ

【弁護士が解説】弁護士選びの際にあまり考慮すべきでない3つの点

 前回の記事では、弁護士を選ぶ際にチェックすべき3つのポイントについて解説しました。

 今回は、番外編として、一見参考になりそうだけれどもあまり参考にならない点について解説したいと思います。

あまり参考にならない点 その1 ホームページの有無

 インターネット上にホームページがあると、法律事務所の取扱分野や弁護士の経歴などを知ることができるので、依頼者にとっては一つの安心材料になると思います。

 IT化に対応できていない法律事務所の中にはいまだにホームページを持っていないところもあります。

 ただ、ホームページは弁護士の営業ツールという側面があります。

 つまり、既存顧客から強い支持を得ており、単に新規顧客獲得のための営業活動をする必要が全くないという理由で、ホームページを作っていない法律事務所もあります。

 ですから、ホームページの有無だけで一概に良い悪いと判断することはできません。

あまり参考にならない点 その2 年齢

 依頼者からすると、できれば経験のある年配の弁護士に依頼したいと思う傾向が強いと思います。

 例えば、弁護士1年目と弁護士10年目とでは確かに実力に差が生じることはありますが、では20代よりも40代の弁護士のほうがよいかというと、一概にそうとは言えません。

 極端な例をいうと、交通事故事件を100件処理したことのある28歳の弁護士もいれば、交通事故事件を1件も処理したことがない45歳の弁護士もいますので、年齢と経験は比例しません。

 また仮に、その分野における経験の浅い若手弁護士と経験の多いベテラン弁護士を比較したとしても、前者は謙虚に時間をかけて事件処理をしてくれるが、後者は経験ゆえあまり打合せなどをせずルーティーンで事件を進めてしまうということも起こり得ます(そういう傾向があるとまではいえません、念のため)。

 なお、ちょっと話は逸れますが、専門性のあるベテラン弁護士に依頼したつもりでも、通常、そのような弁護士は勤務弁護士を雇っているので、主担当は別の弁護士になるということもあります。

 いずれにせよ、重要なのは年齢から推測される経験ではなく、実際に相談をしたときにどこまで丁寧に事件の見通しを語ってくれるかだと思います。

あまり参考にならない点 その3 所属弁護士の数

 日本においては、法律事務所の所属弁護士数が1人か2人である場合が多いのですが、東京には500人を超える大きな事務所もあります。

 一般的に、所属弁護士の数が多い事務所は大手事務所といって、主として比較的大きな企業の案件を取り扱っていることが多く、一般の方が飛び込みで相談するにはハードルが高いと思われます(そもそも一般民事事件の取扱いをしていないこともあります)。

 大都市以外の地方だと、所属弁護士数10名くらいでも、かなり大きな事務所の部類に入ります。

 このような事務所でも、通常、一般民事事件を取り扱っています。

 では、所属弁護士数が多い大きな法律事務所に依頼するほうが良いかというと、一概にそうとは言えません。

 どんなに大きな法律事務所に依頼したとしても、結局担当するのは1人の弁護士です(案件の大きさにより例外的に複数名が担当することはあります)。

 つまり、所属弁護士が1人の法律事務所でも、30人の法律事務所でも、担当弁護士の数は変わらない以上、大切なのはその担当弁護士の能力・相性ということになります。

○小括

 周囲の方から、「ホームページもないような法律事務所では心配」、「若い弁護士だと経験がなさそうなのでベテランのほうが安心」、「所属弁護士数が多い法律事務所のほうが安心」というお話を聞いたことがあったので、弁護士目線からの解説をさせていただきました。